美しき国土を残すだけ。

 河野太郎講演会が去る22日、金沢市文化ホールで開催された。実行委員として、司会として、僕も参加させていただいた。市内在住の普通の一人の主婦が、311後、実家の茨城の放射線量を憂いて原発について学びだし、志賀原発廃炉の署名を知事に渡した後、「これで終わりなの?」という自分への気持ちが抑えきれず、河野太郎代議士に金沢に来てください!とメールを出したことからこの講演会は始まった。選挙区でもない見ず知らずの一市民のメールに反応する代議士。しかも「YES」と。何気ないことだが、すごいことだ。市民国民と向き合う政治家、あたりまえのようだがそうそういない。たとえば浅野川水害の被害者の話を面と向かって聞こうとしない某知事など記憶に新しい。
 実行委員のみなさん、参加されたみなさん、協力してくださったマスコミ関係のみなさん、チラシや呼びかけなど協力してくださった多くの皆さんのおかげなくして今回の成功はなかった。本当にありがとうございました。
 さて、一部の河野氏の講演会。原発は世界の潮流から大きく後退している現実。(代わりに当然のことながら自然エネルギーへの投資が世界的にはうなぎのぼりに増えている)原発は、もんじゅの半永久的なトラブルから、核燃料サイクルシステムは既に限界で、使用済み核燃料の保管スペース、放射性廃棄物の処理の問題等から311以前から先が見えていた現実。そして、福島第一原発の事故により、絶対安全の原発本体(軽水炉)そのものまでも、安全ではない厳しい現実が露呈したというお話。デモや、署名も大切だが、選挙区の国会議員に直接(事務所でも)この危険性に対しどのように考え対処するつもりなのかを問い詰める行為なくして現実の変化なし、というありがたいお話まで明快に分かりやすく頂いた。
 第二部では、福島から金沢に来られた浅田さん、原田さん、志賀原発から10キロ足らずの七尾市在住の志田さんをまじえたシンポジウム。心からの思いに、会場もしっとりとした空気感に。福島のことを知らなさすぎる自分に気づかされた。けれど、それでも僕らを励ます河野太郎さんによし、がんばろう!という気持ちが湧き出るから不思議だ。この人に総理大臣になって欲しいと思った人は、僕だけではないはず。
 オープニングと転換タイムは石川征樹さんのギター演奏。硬くなりがちな僕らの気持ちをいい感じでリラックスさせてくれた。お客様からも多数ギターよかったという声が。音楽がさらに会場の一体感を増幅させる。
 会が終わり、スタッフはメロポチで打ち上げ。河野氏は最終便で東京から駆けつけた馳代議士と食事会。スタッフ女子の残念がり方は尋常ではなかったが、実は、河野氏の本当の仕事は、これからなのだ。311後、50人の自民代議士が脱原発にシフトしたが、馳氏はいわゆるグレーゾーン。馳氏にいちはやく脱原発宣言していただくためにも、金沢での二人の時間は大切なのだ。次の選挙では、間違いなく民主、あるいは自公での過半数はないだろう。そうなると、誰が大連立の軸になるかが問題になる。明確に脱原発の意思を貫き通す河野氏が軸にならずして明日の日本の美しき国土はない。
 そのとき、グレーではだめなのだ。市民も代議士も。わたしもあなたも。