バー

 BAR とは棒、鳥の止まり木のことである。今夜、久々に町に出た。そして、帰り際なんとなく気になっていたBARにはじめて足を踏み入れた。何年も前からその店のことは知っていたし、マスターとも何度か顔を合わせたことはあったのだが・・・今夜が冒険の夜だった。
 衝撃的に気に入った。こんな店が金沢にあったなんて!!すべて僕の常識外だった。「僕の人生の中で最高の店です。」という言葉に、マスターは「ほんの一瞬でもそう思ってくださったことは感謝に耐えません。けれど、それがいつまで続くか自信はありません。もう人生の店じまいのほうを優先しなければならない歳ですから・・・」と答えてくれた。あながち冗談とも受け取りづらい酒の飲み方をしてきた感が全身からあふれ出ている。本当に今夜が最後になるかもしれない。けれど、今夜僕がいただいたものは何物にも変えがたい、すてきなものだった。ありがとう、マスター。また行きます。