携帯電話

 携帯電話のメールに最近とんでもない数の出会い系が入ってくる。もううんざりだ。消去するだけでもかなりの時間を要する。真剣に、携帯電話を解約しようかと考えている。道具は便利であってもなくてもひとつ所有するだけで、そこから新たな関係性が生まれる。携帯電話は大変便利だが、人間の大切な何かを奪っているように思えてくる。自分が若いころなぜ町に出ていたか考えてみると、用事もあったが、やはり、ばったり出会うことを期待していたし、その喜びが何よりもの活力になっていたように思う。
 携帯という便利なツールは日常のワクワク感と、サイレンスな時間のありがたさを切り裂いているように思えてならない。僕の周りでも、携帯をまだ持っていない人は何人かいるが、逆にかっこよく感じる。ゆったりとしたその生き様が。
 最後に人は気づくのか、何も持たないことの最上の贅沢を、あるいは、無限の自由を。