平野暢子さん

 先の日曜、名古屋へ従姉の暢子さんの三十五日忌明法要に行ってきた。61歳という寿命を精一杯、生きられた素敵な女性。いつもうっすらと笑みを浮かべ、穏やかにみんなの話を聞き、軽やかに相槌を打って。
 僕は完璧な暢子さんに対し、ひとつだけ余計な心配をしていた。それは、あまりに素敵な母親の息子は、なかなかお嫁さんが見つけられない、という僕の周囲に多い傾向のことだ。けれど、チャーミングなお嫁さんのおなかに暢子さんのお孫さんがいるという息子さんの挨拶に涙が出そうになった。
 彼の締めの挨拶の前に、学童保育をともにされていた姉さん、ご近所の奥様方の言葉にも胸が熱くなった。暢子さんの生き様がそのまま、この時間、この空間を包んだ。何年かにわたる闘病生活も、ものともせず素敵な笑顔だけを残して逝った暢子さん。ありがとうございました。そして、完全に東京のかおるさんと思って話してしまった昌子さん、ごめんなさい。反省いたしております。