心にもないこと

 先日、ある人に対し“心にもないこと”を言ってしまった。けれど、その人はもっとも冷静に対処し、そのおかげであるべきところに落ち着いた。僕自身、“心にもないこと”という認識があったため問題は起きず、事なきを得た。当然のことながら、後日その無礼に対し誠意を持って謝罪した。
 しばらく、僕の中ではなぜ“心にもないこと”を言ってしまったのか?という自問自答の日々が続いた。そして、昨日その答えが出た。本当は、別の人に対して僕はその言葉を伝えたかったのだ。けれど、なぜか、別の人に対して言ってしまった。そして、なぜ言うべき人には告げず、違う人に対して言ってしまったのか。それは、単純にその言葉を自分の外に放出したかったためと、告げてしまったその人のことを、信じていたのだ。
 僕はその後、自分がその人のことを“信じている”という確信を持った。思いも寄らない自分の行動で、自分の心を知った。
 
 世界は未知にあふれている。36年間付き合ってきた「自分」という存在もまだまだ、未知にあふれていそうだ。一生かかっても知り尽くすことができそうもない自分という存在に、はっとした今年の冬の入り口。
 今日も空は青い。