魂の叫び

 泣いた。自分の父親の葬儀より泣いた。すなわち人生の中で最も泣いた。
川端淑子さんがこの世から去った。
 通夜での出来事だった。正信偈の前の僧侶の退席時、スピーカーから鳴り出したのは、ノーウェアーマン、HEAT WAVE の曲だった。藤森利晋から唯一人前で歌ってもよいと言われ、マネージャーさんから許可をもらって僕自身も歌っている歌。
 初めて、歌の宅配便で山口洋を金沢に呼ぶため、一緒になって苦労した仲間。笑ったり、泣いたり、励ましたり、励まされたり・・・このときからメロメロポッチはひとつ大きな成長を遂げた。大切なメロメロフレンズの仲間、川端淑子さん。
 あるとき、自分は癌や、と意図もさりげなくカウンターで彼女は告げた。僕と同じ34歳。決して年ではない。若すぎる。次第に店からも足が遠のいた。
 今年、HEAT WAVE がバンドで金沢にやってきた。きっと誰よりも誰よりも川端さんが見たかったに違いない。みねちゃんが機転を利かせ、いや心を使い、食中毒で打ち上げに顔を出せなかった山口さんのサインをマネージャーさんにお願いした。
 みねちゃんが頼んだTシャツはメンバー全員のサインが施されメロメロポッチに届いた。即刻川端さんに電話した。正直怖かった。けれどいつもと変わらない声に安心し、喜び勇んで病院へと走った。けれど、ベッドの上の川端さんの姿は薬の副作用のせいか変わり果てていた。けれど、元気な声でありがとうをただただ繰り返してくれた。病室を出て、泣いた。本当に前向きな姿、そして、プロモーションに参加できず、申し訳ないとわびる姿。人間の美しさをみせていただいた。ありがとうございました。
 お疲れ様でした。そんな言葉を胸に通夜の会場に足を運んだ僕をノーウェアーマンが打ちのめした。
 なくなって はじめて尊いと気づくもの なによりもあなたの命
川端さんの命が僕の命に火をつけてくれました。ありがとうございます。命懸けで、やります。天国で得とご覧ください。

   合掌