人生

 何かを得るために生きているとずっと思ってきた。漠然と。何の疑いもなく。けれど、35歳。人生はすべてを失うために生きているように思える。そう考えると、零れ落ちるすべてがきらきらと輝いて見える。失うことは流れること。流れることは生きること。そして生きることは失うこと。

 とにかく掃除を済ませ、秋の風と月を楽しむ。零れ落ちるすべての影を心に抱きながら。
 失うことも悪くない。