ひとり

 今夜、一人で映画を観た。高校時代もよく学校帰りに一人で映画を観た事があったが、この年齢で、一人で、しかもこの季節。何かさびしい気持ちになった。帰りのエレベーターで鑑賞後の4人が一緒になった。二人の若い女の子同士をのぞいて誰も知らない。けれど、何か暖かい気持ちになった。当然のことながら交わす言葉もない。映画の続きのようで、フランス映画の終わりはまだまだ予断を許さない。
 今年の総括のような話題がメロメロポッチで飛び交ったとき、あるお客様が、最後に何かが起こるような・・それまでは何も言えない。そう話された。
 最後に起こる何か、とは何か。雪道を踏みしめながらクールに思いをはせた。そのとき僕の股関節が何かおかしい。そう、雪透かしのし過ぎでつったのだ。年の瀬につる股関節。自分の生身さに触れぷっと吹き出す。なんだか知らないけれど、今夜は一人でよかったと思い、股関節を思いやる。
 股に楽器をはさんで、明朝こすってみっか!白い息に気持ちは引き締まる。