心静かに

 明日の新年の開店を前に、終日掃除をした。けれど、ついつい手にとって読んでしまう。雑誌、新聞、読み物、手紙、本・・・そんな中で、無造作に貼ってあるはがきの中に、また新たな発見をする。過去に書かれたはずの一枚が、今、リアリティーをもって胸に迫ってくる。きっと、今はもうそんなことを書いたことなど忘れているだろうに。逆に僕も多くの人に手紙を書いてきた。メールもしてきた。冗談のような内容から、本気の気持ちまでさまざまに。長谷川健一のアルバム、ランドマークの1曲、光っているけど今はもうそこにはない・・星のように。そんな歌詞を思い出した。そのはがきは確かに書かれ、送った本人の気持ちはもうそんなところにはなくとも、確かにはがきは残っている・・・みたいな。
 愛のはがきではないけれど、そして、ようやく僕は今夜、彼女のことにちょっとだけ近づくことができた。人として、彼女の中心にはそんなものがあったのかと。
 年末の「間のビート」から、とにかく隙間をつくらねば、と奮闘する僕だが、即座に新しい何かが流れ込む。愛すべき「間」をつくることもなかなか難儀な様子だ。

 心静かに、終わることのない掃除を投げ出す。yole yole のやさしい歌声に、何とかなるさと自分を慰める。果たして今年はどんな一年になるのやら。期待と不安は、毎年変わらない。