武蔵戦隊近江レンジャー

 市場で働いていたT 君の夢。なにかやりたい。武蔵戦隊近江レンジャーなんていうのをやりたい・・・いつも変な時間にはメロメロポッチに訪れて、部分的なねたを僕に披露するたびに、それを自分で脚本として書くようにと彼に勧めていた。もちろん彼は相変わらず、頭の中でしか物語は展開しない。ところが、ところがである。やはり抱き続ける夢はいつかかなうのか。とうとう日の目を見るときがやってきた。それは昨日の夕暮れ時。僕が若手でもっとも期待している一人の劇団F主宰の本庄氏が、T 君の隣に座ったところから物語は始まる。市場の再開発の現場を目の当たりにして、なにかめらめらと演劇魂が燃え上がったという本庄氏の思いと、T 君の思い、そして、まさに渦中にありながら吐き出せなかった気持ちを形にしたいという僕の思いがひとつになった。
 あっという間にシナリオの骨格が決まり、劇団F 、そして激団トラベルボンバーズ、T 氏、そしてあの天才芸術家M氏による、10月のメロメロポッチの演劇公演「武蔵戦隊近江レンジャー」が決定した。
 なにごとも、うまくいくときは一瞬のうちに決まっていく。そして、うまくいかないときは、何をやっても裏目にしか出ないものだ。珍しく僕の脳裏に広く広く宣伝せねばという思いが盛り上がる。そして、最終公演終了の感激シーンまでもが・・・
 果報は寝て待て。最近よく口にしていたが、もはや眠ってもいられない。
10月はドラマチックな一ヶ月になる予感。