死に逝く者、生まれ来る者

 この春は、僕の人生でも最高にお通夜、葬儀の多い季節となった。うっかり深夜、遠くに住む古い友人にそのことを電話したりもしてしまった。電話したところでどうにかなるものでもなく、すべて受け止めていくしかないのだが。
 けれど、やはり僕にとってそんな季節ならでは、のせいか、逆に実に多くの出産のニュースも届けられた。現世箱出たり入ったり。おっと、一度出たらお盆しか帰ってこれませんので、あしからずっと。
 つまり、そう長くはないのだ。そして、ずっといられるわけでもないのだ。一日一日、ひとライブひとライブ、一夜一夜。すべてがかけがえのないものなのだ。かけがえのない人との別れ。そして、かけがえのない新たな生命との出会い。それぞれの人が描く人生劇場。つかんでもつかみきれず、想像しても零れ落ちていく。あふれんばかりの「生きる」という欲望の銀河を今夜も泳ぐ。若干眠いけど。